研究室から

オランダ便り⑤:帰国 ― 感謝を込めて

低い土地(ネーデルラント)よりgoedemiddag(フーデミダッハ、こんにちは)! ライデン大学Universiteit Leidenで在外研修中の永田です。

 早いもので、私の在外研修期間の終わりを告げる鐘が鳴り始めました。こちらの生活が非常に充実していたため、プチ帰国鬱(帰りたくない病?)のような状態ですが(笑)、本日25日(水)にスキポール空港を発ち、明日26日(木)に日本に戻ります。 

オランダの空の玄関、スキポール空港

オランダの空の玄関、スキポール空港

今般在外研修では、単に自分自身の研究にとどまらず、実に多くの貴重な経験をすることができました。私がオランダを選んだ最も大きな理由である、国際司法裁判所(ICJ)の傍聴や平和宮の国際法図書館の活用はもとより、ライデン大学の授業聴講(おかげで学生の“友だち”もできました)、国際法スタッフミーティングへの参加、各種研究会やシンポ等への参加、等々、中身の濃い期間でした。 

そして極めつけは先週1週間にわたってデン・ハーグで行なわれた、国際法協会(International Law Association)2010年度大会への参加と、私のスーパーバイザー、Nico Schrijver教授宅に家族で招かれたことです。

前者は、私のスーパーバイザーがオランダ国際法学会の理事長としてChairを務めたことから、幾つか事務局の手伝いもしました。オランダへのアクセスの利便性から、実に多くの参加者があり、論文等でしか見たことがない欧州の著名な学者や実務家と接することができたのは新鮮な喜びでした。

後者については、同教授は欧州で指折りの学者(奥様もユトレヒト大学の准教授)なのに、気さくで心温まるホスピタリティを示してくださり、ビーチで一緒に凧揚げやサッカー(ボール蹴り)をするなど、かなりレアな体験もできました(笑)。 

妻はオランダ語教室に通い(週1)、息子と娘はそれぞれ現地の日本人小学校・幼稚園に通いました。(幼小中の教諭には海外の日本人学校や補習校へ数年間、文科省から派遣される制度もあるようです。これは先生たちにとってもすごくいい経験のようなので、“未来図”のひとつのあり方として、本学の教員志望学生たちにも情報提供したいと思います。) おかげで、世に聞く「駐在さん」たちの幾分華やかな(?)生活ぶりの一端を垣間見ることもできました。家族にとっても今般オランダ生活はかけがえのないものとなりました。 

帰国後は少しバタバタしますが、立正での本格的な仕事復帰は、9月1~3日の集中講義になります。 

今般在外研修はみなさまのご理解とご協力の上に初めて成り立っていることを自覚・感謝し、そこで培ってきたものを、「モラリスト×エキスパート」の育成という教育目標の実現のため、大学・学部・学生・社会のために還元してまいる所存です。 

・・・というわけで、「オランダ(からの)便り」は今回が最後になります。もっとも、実はまだ幾つか(幾つも?)書きかけの“ネタ”がありますので、それが尽きるまで、帰国後も「オランダ(に関するorにいた時の)便り」として、これを続けたいと思います。引き続きご声援(?)のほどよろしくお願いいたします。 

それでは、またお便りします。Dag(ダーッハ、さようなら)! Tot Ziens(トッツィンス、またね)! 

オランダの空

オランダの空

法学部准教授    永 田 高 英

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オランダ便り④:ユース世界ラフティング大会―立正大生が出場!

永田先生のオランダ便り第4弾です。遠くオランダの地で、嬉しい出会いがあったようです。

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低い土地(ネーデルラント)よりgoedemiddag(フーデミダッハ、こんにちは)! ライデン大学Universiteit Leidenで在外研修中の永田です。

World Rafting Chapms 2010(WRC2010)という世界ラフティング大会がデン・ハーグDen Haagの郊外、ズーテメールZoetermeerにあるDutch Water Dreams(DWD)という施設で開かれています。この大会のユース部門に出場している日本代表の中に本学の学生が2人いるというので、オランダで本学の学生に会う機会もなかなかないかなと思い、コンタクトをとり、わずかばかりの差し入れをもって激励に行ってきました。

日本代表選手に名を連ねるのは、経済学部4年の河原拓也君と心理学部3年の藤川雄大君の2人で、ともに探検部に所属しています。2人とも真っ黒に日焼けした肌、鍛えた肉体、そして爽やかな笑顔で出迎えてくれました。

藤川君(左)と河原君(右)

藤川君(左)と河原君(右)

 探検部は、川系(ラフティング)と山系と調査系(?)に主に分かれているそうで、川系のかれらは週末に長瀞で練習し、休日には日本列島の各所に赴いてトレーニングを積んできたということです。お金も根気もかなり必要だろうことは容易に想像できます。ちなみに探検部といえば、3~4年前の卒業生で、谷口大輔という、いまは写真家として生計を立てているなかなか人間味のあるゼミ生がいましたが、2人にきいてみると、部室にかれの撮った写真が飾ってあるのと、いまでも時々コンパなどに顔を出してくれるのでよく知っている、とのことでした。

国土の1/4が海抜下にあるオランダでは、自然の川にはラフティングに適した激流などあろうはずがありません。DWDでは、ラフティングのほか、サーフィン(人工的な波を起こす)やビーチバレーなどもできるようです。今回のWRC2010は、DWD内の人工的な激流の中をグループ(4人)で1対1、スラローム、短距離・長距離など、多様に競い合います。ユース部門男子の出場国はボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジル、チェコ(2チーム)、ドイツ、イギリス、インドネシア、日本(2チーム)、オランダ、ロシア、スロベニア、トルコ、ベネズエラの12ヶ国(14チーム)です。

さて、日本チームの成績はといえば、屈強な欧州勢に押されてかなり苦戦を強いられているようです。後掲WRC2010のトップページに各競技のResultsが載っています。

成績のことはとにかく(笑)、河原君も藤川君も、一定の時間もお金もかけて、オランダまで日本代表としてチャレンジしに来るというその気概がいいじゃないですか。しかも、大学では第1期試験がもうすぐ始まろうとしているこの時期に、です。メールのやり取りを通じても非常にしっかりした学生だという印象をもっていましたが、実際に会ってみても、なかなか清々しい好青年たちでした。

河原・藤川両君は本日(15日木曜日)に全競技を終え、シニアの日本代表を応援したのちに帰国するとのことです。今後の2人のますますの活躍と社会的成長を願ってやみません。ガンバレよ、たくや&ゆうた!

それでは、またお便りします。Dag(ダーッハ、さようなら)!

法学部准教授
永 田 高 英

世界ラフティング大会2010
http://www.wrc2010.nl/

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オランダ便り③:W杯準優勝―オランダ人の回復力の速さに脱帽

永田先生のオランダ便り第3弾 いよいよ本命の(?)サッカーの話題です。

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低い土地(ネーデルラント)よりgoedemiddag(フーデミダッハ、こんにちは)! ライデン大学Universiteit Leidenで在外研修中の永田です。

◇革命前夜(?)のミュージアムプレイン

W杯2010の決勝、対スペイン戦当日。またとない機会ですし、怖いもの見たさ(?)も手伝って、パブリックビューイングが設置されている、アムステルダムのミュージアムプレインと呼ばれる広場まで家族と行ってきました。周辺の交通機関が完全にストップする中、10万人以上が同広場に集まったそうです。何でも”自給自足”のオランダ人らしく、クーラーボックスやビールをケースごと抱えて持ち込んだり、寝袋や大きなリュックを持参しているような人たちも多々見られました。

夜9時を過ぎてもこの明るさ。スクリーンははるか彼方・・・。

夜9時を過ぎてもこの明るさ。スクリーンははるか彼方・・・。

わが家族は試合開始30分前の20時頃(オランダと南アの間には時差はありません)に到着したものの、すでに広場の収容能力をはるかに超えた飽和状態で、人々がコンセルトヘボウ(ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の本拠地で、オランダが世界に誇る音響設備をもった音楽堂)前の道路にまで溢れ出していました。さながら”革命前夜”といった狂騒であったうえ、スクリーン(10万人が見るにはあまりにも小さく低すぎ)ははるか彼方にあり、しかも目の前には世界一の平均身長を誇る(?)オランダ人の大男たちが立ちはだかりました。あまつさえ、そのただでも大柄な人たちが頭にオラニエ(オレンジ)の王冠やら何やらさらに視界の妨げになるものをかぶっているという始末。私たちは周囲にいた他の少なからぬ人たちと同様、試合開始後ほどなくして自宅でのテレビ観戦のため帰途に就くという決断を余儀なくされました。(帰りのバスが路上で酔っ払った暴徒たちから襲撃を受けるハプニングも。)

騎馬隊も不足の事態を警戒

騎馬隊も不足の事態を警戒

  ◇かつての支配者、大国スペインを負かしたい!

さて、試合内容自体の寸評は避けたいと思いますが、初優勝がかかったせっかくの試合なのに、オランダ代表は主審の判定に過剰に反応し、平静を失い、自滅した面が強かったのが残念です。まるで準々決勝オランダ対ブラジルの際のブラジル代表がそうであったように。ヨハン・クライフが評したように、もう2~3人退場者が出ていてもおかしくないほどでした。

オランダでは、ナチス圧政下の記憶がいまだ生々しい対独感情ほどではないにせよ、かつて支配者だった”大国スペイン”に対しても、特殊な感情を抱いている人は少なくありません。司令塔スナイダーが試合後に「スペインにだけは負けたくなかった」という旨発言したそうですが、それがある種の共感を呼ぶのは、かれを含むオランダ代表選手の数名がレアル・マドリードから放出された経験をもつという個人的な因縁からだけではないはずです。人口1,600万人、面積にして九州程度の”小国”が”大国”を負かすという痛快さをこそスペインとの決勝戦に求めた、といった面もたぶんにあったと思われます。それだけに、スペイン優勝が決まった瞬間、単に「一生にいちどあるかどうか」というチャンスを逃したという以上の、敗戦のショック、落胆がオランダ人にはあったはずです。

 

◇ごく自然に”浮世”に戻ったオランダ人

もっとも、そこは「超」がつくほどのリアリストたちです。なにせ、大国に翻弄され続けてきた人たちであり、互いに協力、助け合いながら水と闘ってきた人たちであり、VOC(オランダ東インド会社)に象徴されるように商才に長けた人たちですから、霞を食べては生きていけないことくらいわかっています。マスコミの論調も総じて冷静で客観的なものです。

ほとんどのオランダ人は敗戦から一夜明けてすでに気持ちを切り替えているものと見受けられます。私は早朝からのフラット(アパート)の外壁修復工事の音で目が覚めましたが、そこには、オレンジ色の服を着た業者の人たちが鼻歌をうたったり、同僚と冗談を言い合ったりしながら、楽しそうに作業に従事しているごく”日常の”光景がありました(笑)。

それでは、またお便りします。Dag(ダーッハ、さようなら)!

法学部准教授
永 田 高 英

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オランダ便り②:ハーレム・ベースボール・ウィーク―環境が人を育てる

 永田先生のオランダ便り第2弾。今回は野球のお話です。

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低い土地(ネーデルラント)よりgoedemiddag(フーデミダッハ、こんにちは)! ライデン大学Universiteit Leidenで在外研修中の永田です。
 
昨日、息子が所属するターメン少年野球チームの人たちといっしょに、ハーレム・ベースボール・ウィーク(オランダ語:Haarlemse Honkbalweek)の日本対USA戦を観戦しに行ってきました。この大会はオランダのハーレム(ニューヨークのハーレムの由来)で2年にいちど開かれているもので、今回の出場国は日本、オランダ、キューバ、アメリカ、台湾の5カ国です(ベネズエラはビザ手続が間に合わず出場を断念し、大会のスケジュールが大幅に変更されるという珍事)。

 

日本代表は一昨年の第24回はのちにその多くがプロに行くことになる大学選抜チーム(明治・岩田→阪神、東洋・大野→日ハム、亜大・中田→中日、青学・高島→オリックス、等)で編成されていたようですが、今回(第25回)は、世界大学野球大会と日程が近いこともあってか、京滋大学野球連盟(佛教大学、びわこ成蹊スポーツ大学、京都学園大学、大谷大学、花園大学、京都教育大学、等)の選抜チームでした。 

  

永田先生のオランダ便り、第二段が届きました。今回はサッカーではなく、野球のお話です。

 急造の応援垂れ幕。子供たちにもかけがえのない思い出ができました。

日曜日の好天に恵まれ、球場へは多くの野球ファン(その多くはオレンジ色の服を着ていました(笑))が詰めかけました。ターメン少年野球チームは日本代表のベンチの近くに陣取り、子どもたちを中心に声援を送り続けました。 その甲斐もあってか、見事4対2でUSAに勝利しました。

 そのゆったりとしたサブマリン投法で狙い球を絞らせず試合を作った先発の増田投手、横っ跳びでピンチを救った三島三塁手、左腕から繰り出す80マイルを超える速球でUSA打線を沈黙させたクローザーの白浜投手(この試合のMVP)、などなど、日本代表は溌剌とプレーし、観客たちも惜しみない拍手を送っていました。

 

日本代表の選手たちは、試合後、ターメン少年野球チームの子どもたちに硬式ボールをプレゼントしてくれたり、子どもたちからのサイン攻めにも気軽に応じてくれ、いっしょに写真撮影もしてくれました。急造の手作り応援垂れ幕(コピー用紙を貼り合わせたものに手書きで「日本代表がんばれ」「ターメン少年野球チーム」と書いただけです~_~;)を子どもたちが掲げると、選手たちは「めっちゃうれしい!」と素直に喜んでくれました。どういういきさつで京滋大学野球連盟所属の選手たちが「日本代表」になったのかはよくわかりませんが、そんなかれらもまさかオランダで日本の野球少年たちの応援を受けるとは思ってもいなかったでしょうから、声援がまさにかれらの「心」に響いたのだと思います。

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子どもたちからサイン攻めにあう選手

 

 私自身も監督と少し話しをすることができ、また、今年のドラフト上位候補、佛教大学のエース左腕・大野雄大投手、同じく三島之拡選手とも握手・談笑することができました。大野投手の左手は分厚かったです。「うちのエース南とプロで投げ合ってくれよ」というと、「はい」と力強く応えてくれました。三島選手も高校時代に南昌輝(法学部4年)とよく勝負したというので高校名をきいてみるとなんと奈良の智辯学園出身とのこと。自然、高校の1年後輩である三國龍大(法学部3年)の話題になりました。三國もそろそろ出てこないといけないな(笑)。とにかく、明るく爽やかな、好感がもてる選手たちでした。

 

 「環境が人を育てる」とはまさにそうで、大学生の選手たちの生き生きした表情も、オランダの子どもたちとも気さくに接する態度も、おそらく普段は容易には顕在化してこない部分が、国際大会出場や社会(子どもたち)との接触により前面に出てきたとも言えなくはないでしょう。元々そういういいものをもっているかれらが、にもかかわらず内輪の中だけでとどまっていては、非常にもったいない気がします。“社会化”は、一見遠回りのように見えて、人間としてはもとより野球人としての幅をも広げてくれる――今回その想いを新たにした次第です。  

 

なお、オランダの野球の試合の様子で日本とは異なる点が幾つかありました。ひとつは、DJのような当意即妙の実況中継や情報提供で観客を楽しませてくれる点です。実況の声が球場内に響き渡り、観客もそれに耳を傾け、絶妙な一体感を生んでいました。もうひとつには、攻守の入れ替わり時にはもちろん、試合中のちょっとした合間にも、(オランダ人なら)誰もが口ずさむことのできるBGMを大音量で流し、そのたびに観客たちは一斉に立ち上がり、歌ったり踊ったり、観客を飽きさせない工夫をしていました。おもしろかったのは、BGMが消えても観客が歌うのをやめず、主審もプレー再開をしばらく待つシーンが何回か(何回も?)見られたことです。

日本代表の選手たちとの記念撮影 日本代表の選手たちとの記念撮影

 

さぁ、今晩はW杯決勝戦です。ミュージアムプレインという広場には6~8万人の来場が見込まれています。周辺の交通機関も完全に麻痺するためかなり遠くから徒歩で向かわねばなりません。しかも、かなりクレイジーな事態になることが容易に想像されますが、W杯の決勝戦の雰囲気を当事国内で体験できるなんて一生のうちになかなかない機会ですので、怖いもの見たさ(?)にちょっくら足を運んでこようかな(笑)。

 

それでは、またお便りします。Dag(ダーッハ、さようなら)!

 

ハーレム・ベースボール・ウィーク
http://www.honkbalweek.nl/index.php?hhw=&lang=eng&id=&event=&team=

  

 

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オランダ便り①:W杯サッカーをめぐる日蘭文化事情

国際法研究のためオランダで在外研修中の永田先生から便りが届きました。

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トイレットペーパまでもがW杯モードです(笑)

低い土地(ネーデルラント)よりgoedemiddag(フーデミダッハ、こんにちは)! ライデン大学Universiteit Leidenで在外研修中の永田です。

岡田ジャパンの決勝トーナメント進出に日本中が沸いていることと思います。ここオランダもオレンジ(オランダの王室オラニエ[オレンジ]家のイメージ)一色に染まっています。

 

先日のW杯日蘭戦は大いに楽しみました。両国のガチンコ勝負をオランダで観る機会なんてそうそうあるものじゃないですから。試合の前後、多くの人に「おまえはどっちを応援する/したんだ?」ときかれましたが、私はきまってこう答えるようにしていました。「もちろんオレンジのユニフォームを着る/着たよ。その下にはブルーを着こむ/着こんだけどね(笑)」と。これでたいがいのオランダ人は笑って許して(?)くれます。 

観戦客でにぎわうライツェ広場

観戦客でにぎわうライツェ広場

オランダ人は何事につけ議論が大好きです。こちらのサッカー番組では、ゲストたちが延々と(まさに!)議論しています。そうやってさまざまな見方や観点をぶつけ合うこと自体が、とても大切なことだと考えられているようです。日本の番組のように人気の芸能人や女子アナが登場するなんてことはあり得ません。(余計なことやムダなこと、要するに本質外のことを極力排除したがるのも、オランダ人の特徴の1つです。)

ワインを片手に議論に熱が入るサッカー番組

ワインを片手に議論に熱が入るサッカー番組

試合の報道スタイルも日本とはずいぶん異なります。こちらでは、アナウンサー1人が試合の状況を落ち着いて描写していきます。日本のように過度に興奮することも、どちらかのチーム(たとえオランダ代表の試合でも)に肩入れすることもありません。視聴者が色眼鏡でではなく自分自身の眼で試合を観るうえで必要な客観的な情報を伝えることこそが、プロの実況担当者の役割だと自覚しているからだと思われます。

解説者による解説はハーフタイムと試合後にじっくり行なわれます。そしてそこでも、試合中の幾つかのシーンについてあくまで専門的・客観的にコメントをしていくのです。トルシエ監督の通訳だったフロラン・ダバディがかつて日本の解説者たちについて「知性がない」「解説者じゃなく応援団になっちゃっている」「居酒屋のおやじのよう」などと言及したことがありますが、ヨーロッパにいると、その感覚は共有できるかもしれません。

さて、日本代表についてですが、日本では「善戦」「惜敗」の文字が躍った日蘭戦後でさえ、こちらでは、守備は組織的でハードワークするチームだが、攻撃面でデンジェラスではない、という見方でした。あるオランダ人は「ミスが多く、退屈」とさえ評していました。日本の過熱ぶりとは裏腹に、まぁ客観的にはそんな受け止め方が妥当なところだったのでしょうね。(中田ヒデくらいだったのではないですか? 日本で同じような見方だったのは。) それが、デンマーク戦後に一変しました。日本代表の「実力」を認める論調が目立ってきたのです。

オランダは、トータルフットボールの概念・戦術をつくったように、攻撃的でクリエイティヴで美しいサッカーを求める国柄です。そのオランダ人たちが日本代表を「認めた」ことの意義は小さくないはずです。

オランダ人のサッカー美学の琴線にも触れられるようになった岡田ジャパン。まもなく始まるノックアウト・ステージ1回戦・パラグアイ戦では、結果もさることながら、オランダ人にならって”美しさ””危険な香り”という視点からも観てみようと思っています。

ちなみに、私が好きだった選手の1人、元オランダ代表FW、パトリック・クライファートはEuro Sportsという番組で「ふつうならパラグアイというべきだけど、ぼくは日本が勝つと思う」と言ってくれました! かれの予想は結構当たっていますよ~。

花までオレンジ色に!

花までオレンジ色に!

それでは、またお便りします。Dag(ダッハ、さようなら)!

法学部准教授
永 田 高 英

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